こんにちは、のりです。
この記事では、電気自動車についてお話しようと思います。といっても僕自身がEVに乗っているわけではなく、2010年から15年間、三菱i-MiEVという電気自動車に乗ってきた父の経験談です。
最近EVが普及してきて乗っている人が増えてきていると思うんですが、15年もEV乗った人は中々いないと思います。
- 電気代はガソリン代に比べてどれくらいお得になるのか
- 15年たつとバッテリーはどう劣化し、走りにどう影響するのか
- ガソリン車とのメンテナンス性の違い
- 15年目で乗り換えた理由
などなど、気になることを聞いてみました。
ぼくも電気自動車には興味があって、次の車はEVにしようかなと迷っていたので、興味深く話を聞くことができました。
ということで、15年という超長期の電気自動車レビューをお伝えしていきます。
電気自動車「i-MiEV」について
三菱自動車の電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)」は、世界初の量産型電気自動車です。
i-MiEVの個人向けの販売がはじまったのは2010年4月1日。今から15年前のことです。
当時はEVスタンドの数は今より少なく、しかも一般向けとしては世界初のEVなので、どんなトラブルがあるのか、実用に耐えるのか、いろいろなことがわかっていない状態でした。
自分の父ながら冒険的な買い物をしたな〜と感じます。
なぜ、当時まったく普及していないEVを買ったのか
もともと、一般向けに電気自動車が市販されれる前から興味があったそうです。
ガソリンエンジンを下ろして電気モーターに変えて、電気自動車にコンバートしようかと思っていたくらい。ただ、それにはものすごく費用がかかって、しかも走行距離が本当に短く、コスパが悪すぎる。実用的ではないということで断念したそうです。
その後三菱からEVが市販されるっていうことになったんで、じゃあ乗ってみよう。ということで2010年に購入しました。
当時、新車で買うと450万円くらいしたそうです。
政府から100万円くらい補助金が出たり、自治体からもいくらか補助金があったようですが、それでも軽自動車サイズの車が300万円以上というのは高く感じますよね。
父の場合は、当時働いていた会社の業務にも使うことを条件に、1万円/月でリースできたそうです。5年リースで、満了後にプラス68万円払えば自分のものになる、という契約だったそうです。
年12万円×5年=60万円。プラス68万円で128万円。
普通に買ったら300万円以上するので、かなりお得に手に入れることができたみたいですが、
ガソリン車ならもらえる通勤の燃料費(月30,000円×約5年=180万円)は出なかったそうです。

どんな用途に使ってた? 充電(走行距離)はその用途で足りた?
主な用途は通勤で、距離は往復80キロくらい。年間走行距離は約1万キロだそうです。
i-MiEVはカタログスペックだと満充電で航続距離160kmです。実際の航続距離は購入当初で120kmくらい。これはエアコンもヒーターも使わず、エコ・ドライブをした場合の走行距離です。
通勤80kmなら実用充分に思えますが、冬は航続距離が減るし、ヒーターを使うと更に航続距離がガクッと減るので、冬は暖房を使用せずに、防寒着を着て我慢していたそうです。
これはガソリン車との大きな違いで、考慮しないといけないデメリットですね。

ちなみに父はi-MiEVの他にガソリン車も所有していたので、セカンドカーとしての購入でした。
とはいえ、最近のEVはバッテリーの容量が増えたり、性能も上がって航続距離はだいぶ伸びているし、i-MiEVよりは燃費(というか電費)が上がっているようです。
i-MiEVと同じくらいの軽自動車サイズで、2025年に三菱で販売しているEKクロスEVの航続距離は180km(WLTCモード)。
i-MiEVより大きい普通車サイズの日産アリアは航続距離640km(WLTCモード)も走ります。
※WLTCモードとは、市街地や郊外、高速道路などの走行モードを平均的に使用した国際的な燃費測定法です。Worldwide-harmonized Light vehicles Test Cycleの略で、「世界統一試験サイクル」とも呼ばれます。
640kmはすごいですね。これだけ走れば日常生活だけでなく、旅行にも使えそうです。新宿駅から大阪駅までが約600kmなので、けっこう遠出の旅行ができちゃいますね。
さらに、暖房システムにも改善があります。
i-MiEVの初期モデルには、ヒートポンプが搭載されておらず、暖房には抵抗ヒーターを使用して熱を消費する方式が採用されていました。これがものすごくバッテリー消費が大きくて、航続距離が下がる要因でした。
後期型のi-MiEVやその最近のEVは、ヒートポンプが採用され、暖房効率が向上しました。ヒートポンプは、空気中の熱を吸い上げて暖房する方式で、抵抗ヒーターよりも効率的に暖房できます。
最近のEVなら冬にヒーターを付けずに、我慢して防寒着を着込んで乗る必要はないかもしれません。
燃料費(電気代)はガソリン車と比べてどれくらい安い?
電気代は家の光熱費と合算されるし、ガソリン価格や電気代が変動するので正確な計算はできないけど、ガソリンに比べて1/3くらいになっていたそうです。
例えば燃費15km/Lのガソリン車と比較した場合、15万キロ走ったら1万Lのガソリンが必要になります。
ガソリンが1L=150円だった場合、15年で150万円。
一方で、i-MiEVの電気代は15年で50万円。
雑な計算ですが、15年で100万円ほど得しています。(すごい!!)
ですがもちろん、車両価格がガソリン車に比べて高いので、トータルで得をするかどうかは、EVをいくらで手に入れるかによります。
ちなみに2025年現在の三菱のEVの販売事情ですが、
- EKクロスEVは2,568,500円 −(国の補助金55万円)=2,018,500円
- EKクロスは1,697,300円
約32万円の差でEVが買えます。

長距離運転をしないなど、目的・用途に合うのならアリと思える価格差になっていますね!
EVの保険やメンテナンスについて
i-MiEVの保険代は、軽自動車と同じくらいだそうです。
ただしメンテナンス代はけっこう差があります。大きな違いはオイル交換が必要ないこと。
5000キロに1回オイル交換するとして、15万キロ乗ったら30回のオイル交換が必要です。
1回5000円とすると、30回(15年)で15万円。チリツモですが、けっこう大きいですね。
あと、EVは回生ブレーキシステムなので、ブレーキパッドが減りにくいという特徴があります。(パッドの減りは体感で半分くらい)
パッドの交換頻度が下がる分、パーツ交換費用を削減できます。
回生ブレーキとは、減速時にモーターを発電機として利用して電気を発生させ、その抵抗で減速するブレーキシステムのこと。
EVをならではの出費もあって、充電のための屋外コンセントを設置するために3万円ほどかかっています。


バッテリーの劣化について
i-MiEVの場合、メンテナンス時にバッテリーパフォーマンスを測定できるそうですが、有料で1回1万円もかかるので毎回は測っていなかったそうです。
※9年目、13年目以外のバッテリーパフォーマンス推移は目安です。
購入時 100%
3年目(約3万キロ) 85%
5年目(約5万キロ) 80%
7年目(約7万キロ) 75%
9年目(約9万キロ) 64%
11年目(約11万キロ) 55%
13年目(約13万キロ) 48%
15年目(約15万キロ) 廃車
15万キロ走って手放した理由
12万キロ(12年目)までは満充電で80kmくらい、加速もよく日常使用では問題なく使えていたそうです。
それが13万キロ(13年目)以降バッテリーの劣化が進み、15万キロ(15年目)を迎える今では50kmくらいに落ちてしまいました。
暖かい日ならこれでも使えなくはないけれど、冬の寒い日はパワーダウンして上り坂でスピードダウンするなど、日常的に乗るのはちょっと厳しい状態になったそうです。
バッテリーを乗せ換えるには90万円ほどかかるそうで、それなら乗り換えたほうがいいかな。ということで手放すことを決めたそうです。
- 「バッテリーの寿命 ≒ 車の寿命」とすると、15万キロは長いのか短いのか。
- EVはガソリン車よりも車両価格が割高なので、15年で車両価格との差分を燃料費の割安さでペイできるのか。
このあたりはしっかりと検討しないとですね。
ちなみに中古では値がつきませんでした。無料で引き取ってもらったので廃車費用はかからなかったそうです。
ガソリン車でも走行距離15万キロだと中古で値がつかないかもしれませんが。

まとめ:父の感想
以上です。
さいごに、i-MiEVに15年乗った父の感想です。
15年近く苦楽をともにしてきたアイミーブとも、ついにお別れの時が来ました。
世界初の電気自動車ということで、国や会社の補助金があったので発売直後に発注。乗ってみると鋭い加速力に驚きました。通勤や買い物などに使うなら快調そのもの。ただ遠乗りは出来ません。
また、寒い時はいけません。ヒーターを使うと電気はみるみる減っていきます。燃料代はかかりません。ガソリンの3分の1ぐらいでしょうか。
12年を過ぎたころから、徐々に電池の減りが早くなって来ましたね。この冬は寒い日にはパワーが出なくて坂を登る時はのろのろでした。
電池交換は90万円程とのことで、やむなく乗り換えることにしました。
EVを購入するときの参考にしてみてください!