天地無用(5.12a)と、北北西(5.11b)を登った記録です。
天地無用(5.12a)
100岩場のトポには「天下峰きっての好ルート」と紹介されるだけあって、とても面白いルートでした。トポには垂壁とあるけど、下部はうすくかぶっていて威圧感があり、登りたくなる見た目をしています。歩いて上まで行ってトップロープをかけられるので、はじめての5.12でも挑戦しやすいと思います。
ルートの詳細とムーブ
天地無用は下部、中盤、上部とわけることができます。どのセクションもムーブがあってひとつひとつ解決していくのが楽しい。下部、中盤のあとにそれぞれレストポイントがあるんですが、レストできるくらいの疲労で各セクションを登りきれるかがポイント。
下部
1ピン目〜2ピン目、顕著ではないフットホールドをスメアでごまかしながら、レイバック気味で身体をあげていく。2ピン目をクリップしたあとのスロットは左手で取りに行きたくなるが、向きが悪い。ぼくは右足ハイステップで結晶をふんで身体を持ち上げ、右手アンダーでスロットを持ちにいきました。(指の強い人なら左手でもいける)
中盤
しっかりとレストをしてから、3箇所のアンダーをつかってトラバース。手足の送り方を間違えるとムーブをおこしにくくなるので手順を決めておく。右足でビー玉くらいの大きな結晶をふみ、左手を大きくあげてうすいホールドをピンチしたら、左足を3ピン目クリップのすぐ横にある結晶におく。右足を少しあげて、デッドでガバにとびつく。ランナウトしているのでちょっと怖いけど、安全に落ちられるのでガンバる。このセクションは気温や湿度が高くてぬめると厳しかった。
上部
ガバからトラバースして、クラックにうつる。クラックは上に行けばいくほど広くなっているので、指がかかるところまで身体を上げられたら完登がみえます。しかしそこまでがキツい。僕は指が大きくてけっこう上の方までいかないとしっかりと持てないので苦労しました。いかに足を信頼して指への負担を減らせるかがポイントだったように思います。上部で落ちるとランナウト+トラバースでけっこうふられるけど、危険な落ち方ではなないので大丈夫。このセクションもぬめったら厳しい。
グレードについて
5.12aのグレードは妥当だと思います。
身長やリーチ、指のサイズでムーブがかなり変わりますが、どのムーブでも5.12aなのが天地無用のおもしろいところ。三ツ星の素晴らしいルートでした。
注意点と補足
ぼくもパートナーも、このルートを登っていたら右手の中指、薬指を炒めてしまいました。おそらく下部セクションで指に負担のかかるムーブをしていたからかな。
もうひとつ。2020年3月頃にフットホールド(結晶)がかけていたらしいんですが、なくても問題なく登れました。以下のブログに詳細が書かれています。
北北西(5.11b)
天地無用と同じく、天下峰の人気スラブルート。いつも人がいます。日当たり良好なので冬はポカポカですが、逆に春は暑すぎるかも。トップロープをかけられるので、気軽にトライできます。
ルートの詳細とムーブ
北北西は4ボルト(+アンカー)の短いルート。核心は4ピン目からで、そこまでは5.10-くらいで比較的かんたんです。
核心のムーブは身体のサイズ、リーチによって違うんですが、僕の場合は、
- 焼き芋みたいなホールドをマッチ
- 左足でツブを踏む
- 右手でカチをサイドプル
- 右足を顕著な穴にハイステップ
- 左手で薄カチを爪をたてて保持
- 左足を切りながら、重心を右足にのせて身体をあげる
- 右手で甘いホールドもってバランスとりながら、左足を上げる
- 左手でダイク持つ
というムーブで抜けました。背の低い人は焼き芋ホールドで「手に足」していましたが、僕には狭すぎて無理でした。上手い人ならできるのかな〜
グレードについて
同グレードの花崗岩スラブを登った経験がほぼないのでよくわからないんですが、難しいのは核心だけであること、コツをつかめばフィジカル的な強度は低いことから、5.11bは妥当なんじゃないかと思います。隣にあるパントマイム(5.11c)と比べても、ちょうどワングレードくらいの差じゃないかと。
トポ情報など
天下峰エリアのトポは「日本100岩場 東海・関西 増補改訂版」に載っています。また、Climbing.netのデジタルトポで無料でみることができます。