クライミングで地域おこしをしている例をまとめてみた。

2021年4月から、地域おこし協力隊として、「瑞牆」と「クライミング」をテーマに活動しています。

クライミングで地域おこしといっても色々な方法があると思います。エリア開拓をして市外県外からのクライマーを誘客したり、クライミングジムを作って地域を盛り上げたり。

この記事では、そんなクライミングによる地域おこしの例を紹介します。誰かの参考に、というよりは自分のためのまとめなんですが、興味のある人は読んでみてください。

小山田大さんによる、笠置山エリアの開拓 @岐阜県恵那市

クライミングの地域おこしといえば笠置エリア、というくらい界隈では有名です。

2008年に小山田大さんが笠置山を訪れ、質の高い岩と、その量に注目。地権者と交渉をかさねながら約1年で4つのエリアを開拓しました。その後、笠置山クライミング協会が発足し、地権者、観光協会、自治体の協力によりクライミングエリアとして組織的に整備されます。

2009年には世界のトップクライマー、クリス・シャーマ、平山ユージが訪れるなど、笠置山エリアに注目が集まります。開拓イベントや、クライミングフェス、エリアガイドブックの発行など活発な動きもあり、2013年には岐阜県による「岐阜の宝物プロジェクト」の中で「明日の宝物」に笠置山クライミングエリアが選ばれています。

笠置山エリアは現在でも人気のクライミングエリアで、全国からクライマーが訪れる場所になっています。

笠置山 クライミングエリア 看板 地域おこし
小山田大さんが登っている写真付きの看板

ポイント①小山田大さんの精力的な開拓

やはり世界トップクライマーである小山田大さんが開拓している、というのが人気の要因かと。

小山田大開拓、というだけでプロモーションになり、人が集まります。また、高難度課題があればトップクライマーが集まり、その影響で一般クライマーも注目する、といういい流れができます。

ぼくも一度訪れたことがあるんですが、やさしい課題も多くビギナーでも楽しめるエリアでした。

ポイント②行政の全面的な協力

行政の協力、これは資金面、許可面で重要です。

地権者との交渉は、個人のクライマーがするのと、行政が一緒にするのとでは受け入れられ方が違うでしょう。土地の所有者・管理者が市町村だったら、スピーディに開拓も進められそうです。

平山ユージさんによる、二子山エリアの再開拓 @埼玉県秩父郡小鹿野町

平山ユージさんや安間佐千さんらによって再開拓された二子山西岳。公開されたのは2021年と、いま最も注目されているエリアのひとつです。

西岳再開拓プロジェクトは2020年からはじまったそうですが、構想は10年以上前からあったんだとか。

2008年だったと思いますが、二子山を抱える小鹿野町にクライミングによる町おこしの企画書を提出しました。しかし、当時はクライミングの認知度も低くて、それが大きく動くということはありませんでした。ところが、それから10年後の2018年、小鹿野町のひとりの議員さんがその企画書を見つけ出してくれて、突然電話をもらいました。

おそらくクライミングがオリンピック競技になったこともあったのでしょう。町長さんから直接『小鹿野町観光大使として、クライミングを通しての町おこしを一緒にやっていきませんか?』と声をかけてもらいました。

世界の岩場を知る平山 ユージが、
埼玉県二子山を再生・開拓する理由

10年前にくらべ、世間のクライミングへの理解は相当に深まっているようです。

西岳再開拓プロジェクトのプロセス

2019年に小鹿野町クライミング委員会が発足。地元の人にクライミングを理解してもらうため、また岩場を維持発展させるためのクライマーコミュニティです。

その後、小鹿野町や観光協会のバックアップのもと、地権者の秩父太平洋セメントに許可を得て再開拓が進みます。

ポイント① 二子山という元々人気のあるエリアの再開拓

二子山は再開拓前から人気のあるエリアでした。石灰岩のリードクライミングといえば、日本では一番有名なエリアでしょう。

ただし、二子山や高難度のルートが多く、いるのは上級者クライマーばかりというイメージがあります。ぼく自身、二子山にのぼりに行ったことがないので、本当のところはわかりませんが、ビギナーにとっては近寄りがたいエリアという印象です。

一方で、再開拓された西岳エリアは、5.10台のやさしめのルートもあり、多くのクライマーが楽しめるようになっているそうです。難易度の問題で二子山に登りに行くことに二の足を踏んでいた初・中級クライマーが訪れるいいキッカケになるんじゃないでしょうか。

ぼくも近いうちに行きたいと思っています。

ポイント② Rock&Snowでの特集

12月7日発売の山と溪谷社『ROCK & SNOW 090』で特集されたことで、認知度が上がったのは間違いないと思います。せっかく開拓してもプロモーションがおざなりでは人は来てくれません。

もちろん、特集された理由は平山ユージさんと安間佐千さんというビッグネームが関わっているのが大きいでしょう。

地域おこし協力隊による岐阜 飛騨金山のクライミング事業

岐阜県下呂市金山町で地域おこし協力隊をしている鈴木亘(すずき わたる)さんの活動。

外岩の開拓やエリア整備のほか、古民家を改装したボルダリングジムを経営されています。自身の活動をYoutubeで発信しており、同じ地域おこし協力隊としてとても参考になります。

金山のボルダリングエリアには牙岩という特徴的な岩があり、『ROCK & SNOW 87』の表紙にもなっているので知っている人も多いはず。個人的にも行ってみたいエリアのひとつです。

▲特徴的な牙岩の写真が表紙。こういう映える岩があるのは強みですね。カッコイイから登ってみたくなり、誘客につながります。

ポイント① Youtubeの活用

飛騨金山のエリアについて、僕はまったく知らなかったんですが、あるときYoutubeのオススメにでてきて鈴木さんのチャンネルとエリアのことを知りました。

日本人のクライミングYoutuberはまだあまり多くなく、クオリティもイマイチなものが多いので、鈴木さんのチャンネルは話し方が丁寧&動画の構成も上手なので見やすいです。(元NHKのディレクターとのこと)

クライマーでYoutubeを見ている人なら、オススメにあがってきた人も少なくないんじゃないでしょうか。プロモーションとして価値があり、協力隊の事業報告としても面白いですね。

現役の地域おこし協力隊でも見習いたい人が多いんじゃないでしょうか。

ポイント② ボルダリングジムの経営

地域おこし協力隊による経営というのは、個人的にすごく気になる部分です。

というのも地域おこし協力隊が事業経営をするのはそんなに簡単ではないはずだからです。そもそも、地域おこし協力隊には大きく分けて2つの種類あります。

  1. 雇用関係あり(一般職非常勤職員)
  2. 雇用関係なし(委託契約職員)

①の雇用関係ありでは、基本的には公務員(会計年度職員)と同じく副業などに制限があります。②の場合は、個人事業主扱いで地域おこし協力隊の仕事は業務委託という形になります。起業などをすることへの制限は少ない。

鈴木さんの場合はどちらなんだろう。①だとしても、自治体の理解があれば可能だと思います。もともとクライミングで地域おこしをするということでの採用だったらしいので可能性はあります。

追記

鈴木さん本人にお聞きしたところ、ジムの営業は地域おこし協力隊の活動時間外にしていて、副業扱いになっているとのことです。市役所の担当者と相談しながら活動しやすい体制を作ってもらっているそうで、うらやましい限り!

ちなみに、すずきさんは今ボルダリングジムの改装のためクラウドファンディングで支援を募集しています。(2021年5月14日まで)興味のある人はぜひ!

ボルダリングで町おこし!のびのび登れる場所を作りたい!【岐阜 飛騨金山】

その他の事例

上記の地域おこし例の他にもいろいろな事業がありますが、あまり情報がなかったので参考サイトのみ紹介します。

エリア利用料や駐車場の有料化について思うこと

紹介した笠置山の地域おこしの例をみると、駐車場が有料になっています。(実質的なエリア使用料)
一回の金額は高くはないですが、塵も積もればでばかにならない金額になるのでお金のないぼくにとっては少し痛い。

ですが、クライミングエリアを維持発展させていくには、運営していくための資金が必要です。熱意ある人たちのボランティア運営ではいずれ疲弊してしまう。そうなると、誰も管理しなくなり、エリアは荒れ、地域への迷惑に繋がり、クライミングをしにくい環境になったり、最悪の場合は禁止になってしまう。こういったことは現実に起きています。

ということで、「クライミング=お金のかからない遊び」という認識は捨てようと思います。

魅力的なエリアの維持のために、駐車場や利用料は気持ちよく払いう。なるべく地域で消費する。それがクライミングを楽しむための必要経費なんだと思います。クライミングジムには月に1万円くらい払っているんだから、外岩にだってお金を使っていいじゃないか。

クライミングによる地域おこしの例を調べていて、そんなことを思いました。(当たり前すぎて今更かよ、と思われちゃうかもしれませんが・・)

さいごに:地域の理解がなによりも大切

この記事で紹介した事例はすべて、地域の方々と行政がクライミングに対して理解してくれたからこそ可能だったプロジェクトです。

エリアの整備や開拓といった実務作業と同じくらい、クライミングのことを理解をしてもらうための努力があったはず。そういったことを抜きにしたクライマー本意な開拓でのちのちトラブルになっている例はたくさんあります。

今回調べた例を参考に、持続可能なクライミングの地域おこしを目指していきたいです。(すごく堅苦しい締めになってしまった)

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